12月9日(月)、IT SPORTS LEAGUEに参加している日本ビジネスシステムズ(株)本社会議室を会場に、第5回ITSLINNOVATIONFORUMを開催しました。30年余りの歴史を築いてきたIT SPORTS LEAGUEが目指す「企業、そして社会がWell-beingであること」の重要性を改めて認識することを目的に、今年は①アスリートの講演、②免疫機能を高める睡眠による学び、③IT SPORTS LEAGUEへの参加意義という3つのテーマについて、テーマごとに3者の講演を行いました。
公演①:アスリートの講演
講演者:大山加奈さん(元女子バレーボール日本代表)
「繋ぐ 〜バレーボールが教えてくれたこと〜」
最初の講演は、バレーボール女子の元日本代表でアテネオリンピックにも出場した大山加奈さんによる「繋ぐ 〜バレーボールが教えてくれたこと〜」をテーマにした内容でした。
大山さんは、バレーボールという競技について、誰かにトスを上げてもらわないとスパイクを打てないことや、一人で2度連続してボールに触れられないことなどから “究極の繋ぐスポーツ”と表現。だからこそ「協働力」が必要だと学んだと言います。
協働力とは、チームのメンバーが共通した目的・目標達成に向け対等の立場で協力して共に働いている状態を実現する能力のこと。大山さんの経験上、協働力を発揮するためには、チームのメンバー全員が「チームの本質を理解する」「違いをチームの力にする」「他者と結果を呼び寄せる」という意識を持つことが重要であると説き、これらに気付くきっかけになった出来事として、3つのエピソードを明かしてくれました。
一つ目のエピソードは、高校時代。主将を任された大山さんが、当時のチームメイトであり、後に日本代表でもチームメイトになる荒木絵里香さんと、一つの敗戦をきっかけに大げんかをしたこと。互いに真正面からぶつかり、本音を曝け出すことによって相手の考えを尊重できるようになったことから、チーム内での相互のコミュニケーションの大切さを学んだと言います。
二つ目のエピソードは、日本代表時代。若くしてエースの期待を背負いながらも、腰の痛みとの戦いから思うようなパフォーマンスができず、苦しい練習が続く合宿所から逃げ出そうとしたこと。恩師と父親にだけ弱音を伝えた時に、恩師からは「辞めたかったら辞めていいんだよ」、父親からは「そんなに辛い思いをしてまで続ける必要はない。家に帰ってきていいんだよ」との言葉をもらえて前向きになれたことから、時には弱音を吐くことも大事なことだと学んだそうです。
三つ目のエピソードは、双子を出産して子育てをしている現在のこと。育児と仕事の両立を目指しながら、どちらも思うようにいかないこともあるそうですが、現役ジオ大に学んだことを活かして、家族やご近所の方の力を借りながら「借りたチカラも自分のチカラ」と思い、今もらった力はいつか別の困っている人への力にしようと思えたことで楽になったと言います。
バレーボールに出会えたおかげで様々なことを学び、そのおかげで人生が豊になったという大山さんの講演は、チームや組織で物事に取り組む我々のビジネスシーンでも教訓になるお話でした。
公演②:免疫機能を高める睡眠による学び
講演者:江川信吾(キリンビバレッジ株式会社 健康セミナー講師)
「睡眠×感染症対策 〜免疫機能を高める「眠り」とは?〜」
2人目の講演は、IT SPORTS LEAGUEのオフィシャルスポンサーでもあるキリンビバレッジ(株)の健康セミナー講師であり、現在は南青山内科クリニックで睡眠カウンセリングを行っている江川信吾先生による「睡眠×感染症対策 〜免疫機能を高める「眠り」とは?〜」をテーマにした内容でした。
江川先生は、フォーラム参加者に対して「みなさんは普段、何時間くらい寝ているか?」「日本人は世界と比較して睡眠が長い方か短い方か?」と質問しながら興味を注がせつつ、睡眠が短いと免疫機能が弱まって感染症にかかりやすかったり、風邪をひきやすくなること。また、心身を極限まで追い込むアスリートは特に免疫力が低下しやすいことを、エビデンスを示しながら丁寧にわかりやすく説明してくれました。
免疫機能を高めるためには睡眠が非常に需要だと分かりましたが、ではどのような睡眠を意識すればいいのでしょうか。江川先生は3つの“鍵”の存在を指摘します。
一つ目の鍵は「光」です。人間の体は、午前中にたっぷりと日光を浴びることによって体内時計をリセットできるとのことです。人間の体内時計は24時間よりも少し長めに設定されており、放っておくとだんだんと夜更かしの生活に向かって行きがちだそうで、朝決まった時間に日光を浴びることによってそれがリセットされ、夜同じ時間に眠くなる好循環が保てるとのことでした。
二つ目の鍵は「運動」です。夕方から就寝の3時間前くらいまでの間に、20〜30分程度の軽めの運動をすることで、適度な疲労感が心地よい睡眠に誘ってくれるそうです。
三つ目の鍵は「入浴」です。入浴は、睡眠にとって重要な深部体温(体の中心部である内臓や脳の温度)に直接的に影響するため、就寝の90分前に、40度のお湯に15分ほど浸かることが望ましいことを教えていただきました。
ただし、3つの鍵をしっかり実行していても台無しになる生活習慣があるとのこと。それは、「午後3時以降のコーヒー」「TV見ながらうたた寝」「夜のドカ食い」「お酒」「タバコ」「ベッドでスマホ」です。
これらを全て禁止にして生活することは多くの人が困難かと思います。江川先生からは「全部やろうとしなくてもいい。まずは『これならできそうだ』というものから始めましょう」と、参加者に呼びかけていただきました。
公演③:IT SPORTS LEAGUEへの参加意義
講演者:河野智宏 (情報技術開発株式会社 コーポレート本部 業務管理部長)
3人目の講演は、IT SPORTS LEAGUEの参加企業である情報技術開発(株)の河野智宏さん。IT SPORTS LEAGUEへの参加が、会社内外のビジネスシーンでどんな影響をもたらしているか、体験談として語っていただきました。
情報技術開発(株)は1999年からIPI軟式野球リーグに参加し、その後、ITテニスリーグやITフットサルリーグにも参戦。河野さんは野球部に所属しています。
情報技術開発の野球部は参加した年を含めて3年間、試合で1勝もできず、なんと19連敗という不名誉な記録を残してしまったそうです。負けに負け続けて3年、それでも野球部の活動を続けられたのは、勝敗を超えて得られるものがあったからだと言います。
それは「業務外での仲間たちとのコミュニケーション」。野球に限らずスポーツでは、勝利を求めることも大事だが、それ以上に大事なのは「ケガなく楽しくプレーすること」だと河野さんは言います。
そして、野球部の活動を通じて、部署の垣根を越え、試合後の懇親会では上下関係も超えて貴重な人間関係を築けたことが、自身にとってかけがえのない財産だ、と続けました。
また、プロ野球を開催しているスタジアムで自身もプレーできたことや、メジャーな新聞・雑誌・Webにリーグのレポートが掲載されること、また厳かな表彰式などIT SPORTS LEAGUEならではのイベントが、自身や会社のモチベーションにつながってきたと語り、最後にこれまでリーグの運営に関わってきた関係者への御礼で講演を締めていただきました。